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院長ブログ

山里の訪問診療2019初夏②:


(これに掲載する写真は、本人、御家族から許可を頂いています。) また一人、おばあちゃんがこの地区を出て行きます。 今日最後の訪問診療。 これまで11年訪問。 亡くなられたご主人からの訪問を加えると、14年間訪問診療を続けたことになります。 96歳独居。 介護施設には週2回通所。 炊事洗濯掃除はなんとか自分で熟す。 週末には、山越えをして長男氏が、 備蓄の食材を持ち、畑の手入れに来ていました。 が、その長男氏も75歳となり、膝を痛め運転が厳しくなり、加えて水害による道路事情も災い。。 水害から2年半。 親族が苦渋の決断をし、近々おばあちゃんは長男氏宅の近くの施設に入居する運びとなりました。 2年半、"私はここを離れません。 先生に看取って頂ければそれが一番の人生です" とずっと言って頂いていました。 しかし、実際には、自活するは困難を極め、 "子の想いを受け入れるのも親の役目" と最後には、きっぱりと思いを断ち切り100年繋ぎ住んだこの家屋の扉を閉じることにしました。 最後の訪問。 いくつかの専門治療は必要なままですが、ここに涙はなく、最後の最後までばあちゃんが育てた野菜を頂き、見えなくなるまで、手を振って頂きました。 人の命は一つ。 どう生きるか、 どう生きたいのか、 それを水先案内するのが私の仕事。 だんだん人口減少するこの事象の中、 私も、 どう生きるか、 どう生きたいのか、 改めて自問自答する帰り路です。 ばあちゃん、 戦後の日本の片隅で あなたは生き、苦しくも 笑顔を絶やさずに生き抜きました。 いつまでも、その強さ、寛容さ、そして笑顔を。 お元気で。る

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